マック難民
夜中2時に、初めてマックに行った。
最初に感じたのは、匂い。
昼間と違う、匂いがする。
ツンと鼻につく、すえた匂い。
たくさんの浮浪者が、そこにはいた。
ソファーに思い思い寝転がって、我が家のようにくつろいでいた。
陣取った席の真正面には、不倫してるカップルが言い争い、真後ろにはサラリーマン風の男が、ニット帽を深く被って、爆睡してる。
その後ろにも、くたびれたおばさんが、口を開けて寝ていた。
真横では、学生達が、ワイワイと群がり、その先にいたとんでもなく巨漢の少女は、マックのハンバーガーなんて食べず、市販のプリッツをボリボリかじってる。
二階と四階の席は、夜中の清掃中。
ここは、三階の喫煙席だ。
タバコの煙が、視界を霞める。
前から後ろから、覆い被さるように、モウモウと、モウモウと。
すえた匂いとタバコが混じる。
それは、僕が今まで知らなかった匂い。
色んな人生が、この三階には詰まってる。
初めての匂いは、別の世界の匂い。
ハンバーガーは、喉を通らなかった。
吐き気がした。
まだ、その世界の住人にはなれないし、馴染めない。
でも新しい世界は、この上なく、魅力的で刺激的だった。
最近滞っていた、作詞の作業。
たった一晩で、4曲も進んだ。
自分でも信じられない。
まるで、別人だったんだ。
ひょっとして、求めてるのは、こんな世界?
今まで生きた世界を、もう投げ捨てたいのかもしれない。
夜中2時、マックの三階、僕の次なる憩いの場だ。
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